マンション管理 Q&A(第二版)

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38 建替えの概要と検討費用の捻出方法は?

建替えの概要と建替組合設立までの費用の捻出について説明して下さい。

一般的な建替えの流れは概ね下記の通りです。

1.建替えの流れ(区分所有法、建替え円滑化法による場合)
建替えの流れ 業務内容 備  考
1.有志等による勉強会スタート 情報収集、セミナー参加等。 理組合の活動とは区分
2.理事会での検討 勉強会等の成果を踏まえて理事会で検討開始。 年度事業計画として総会に提案
3.建替え検討決議
  (任意・普通決議)
建替え試案作成してアンケート調査等で意向把握。改修の場合の検討。 必要に応じ予算措置
検討組織立ち上げ、専門家の活用
4.建替え推進決議
  (任意・普通決議)
建建替え実施試案を面談等による意向把握等で繰り返し作成し順次実施案に仕上げる。 面談で区分所有者の問題点等を把握し対策を提案。非賛成者、反対者の意向把握と対策。事業協力者の選定。
5.建替え決議
  (法定決議)
詳細な実施案(法定書類)を作成 反対者の把握
6.建替組合設立 県知事に申請 反対者への対応
7.権利変換計画 県知事に申請 反対者、非入居者へ積立金の精算・返金
8.工事契約 工事業者決定 業者選定の透明化
9.仮住い 管理組合の解散 残余財産の精算
10.再入居 再建管理組合スタート  

2.建替組合設立までの費用の財源について
修繕積立金を取り崩して充てることができます(単棟型標準管理規約第28条)。 なお、建替え反対者の資金も使用することになるので、コンサルの活用など多額の支出を伴う場合は賛否の状況に十分留意することが肝要です。

3.建替えに関する諸問題と建替え成功の条件

1)解決すべき諸問題
① 合意のハードルが非常に高い(4/5以上の賛成)
② 高齢者問題が重要(資金負担力、仮住まい)
③ 建築基準法の制約等(既存不適格建物、建蔽率、容積率等)
④ 資金負担の軽減策等

2)成功の要件
① 慎重な合意手続き(特に非賛成者、反対者対策)
② 情報等の共有化及び公正で透明性の高い運営
③ 有利な立地及び事業性(増床による資金負担軽減策等、)
④ 専門家等の活用
⑤ 高齢者・反対者への適切な対策
⑥ 資金対策(軽減策の用意等)
⑦ マンション市況
⑧ 行政の支援の活用

3)参考図書
・マンション建替え実務マニアル
・マンションの建替えに向けた合意形成に関するマニアル
・マンションの修繕か建替えかを判断するためのマニアル
・改修によるマンションの再生手法に関するマニアル

(いずれも国土交通省発行、頒布先はマンション再生協会 03-3591-2373)

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