マンション管理 Q&A(第二版)

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36 駐車場解約後の放置車両は移動してよいか?

管理費等を24ケ月月滞納している区分所有者の駐車場使用契約を解除しましたが、車両は駐車場に放置したままです(パンク状態)。 敷地外に移動したいが問題はないでしょうか。

駐車場使用契約(以下「契約」と記します。)を解除したからといって管理組合がその不法駐車の車両を勝手に処分することは不法行為と看做される恐れがあり、場合によっては車両所有者から損害賠償の訴えを起こされる恐れもあります。

駐車場の明け渡し請求から車両の処分等までの一連の措置を適切に実施するには、これらについて処理方法や手続きを予め駐車場使用細則及び駐車場使用契約書(以下「細則等」という。)に規定しておき、これに沿って慎重に手順を踏んで進めることが肝要です。
まず、細則等に契約解除及び明け渡しに関する事項を具体的に規定することが基本です。
契約解除に関する規定には、管理費等や駐車場使用料金(又は共用部分の使用料等)滞納に係る事項を、また、駐車場の明け渡しに関する規定には、所定期間内に明け渡しに応じない場合の措置等を規定します。
実際に処理する場合は、まず契約解除・駐車場明け渡し期限の通知をし、次いで明け渡し義務を履行しない場合、一定の履行期限の設定、所定の処置の予告及び最終的な処理について通知します。

相談の事例では、まず細則等の規定にそって、文書により契約解除に伴う明け渡しを相当の履行期限を定めて通知し、期限までに履行されない場合は、管理組合は、理事会の決議を経て自ら又は第三者に依頼して車両及び残置物の移動その他の必要な措置を講じ、その費用を当該駐車場使用者から徴収する旨通知します。
そのうえで期限までに履行しない場合、共有地の他の安全な場所へのレッカー等による移動、第三者立会の下で売却、廃棄などと順次処理のレベルを上げます。

なお、実施上の留意点としては、
1)処理の各段階で必ず予告したうえで相当の期間を設けて実施に移す。
2)売却、廃棄等の場合、必ず第三者に立会を求める。
3)原状回復に要した諸費用・損害及び滞納駐車場使用料及びこれらの特定承継人への対応を含めて規定します。

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