マンション管理 Q&A(第二版)

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29 自治会費の用途に制限はありますか?

管理規約によって、毎月自治会費が徴収されています。
自治会費の支出項目のなかに、入学祝や結婚祝等が定められていますが、これ等の祝金の恩恵にあずからない方々にとっては不公平ではないでしょうか。

区分所有法第3条では、区分所有者の団体(管理組合)について「区分所有者は、全員で、建物並びにその敷地及び附属施設の管理を行うための団体を構成し、この法律の定めるところにより、集会を開き、規約を定め、及び管理者を置くことができる。」と定めていますが、区分所有法には自治会に関する定めはありません。
ご相談では、管理規約によって自治会費が徴収されているとのことですが、東京簡易裁判所平成19年8月7日判決要旨によれば「管理組合が町内会費を徴収することは、共有財産の管理に関する事項ではなく管理組合の多数決で決定したり規約で定めても効力がない。」との判決がでています。

また、最高裁平成17年4月26日判決要旨では「自治会は強制加入団体ではなく退会制限もないので、一方的意思表示で退会ができる。」ことが明らかになっています。
従いまして、ご相談のような自治会費の徴収或いは会費の用途等については、管理規約に定めるものではなく、別途に自治会規定等を設定のうえ、会費の徴収或いは会費の用途等について定めるよう検討されてはどうでしょうか。

マンション標準管理規約第27条(管理費)第10号に、管理費の用途例として「地域コミュ二ティにも配慮した居住者間のコミュ二ティ形成に要する費用」がありますが、但しそのコメントによれば、「管理費からの支出が認められるのは、管理組合が居住者間のコミュ二ティ形成のために実施する催事の開催費用等や、管理組合役員が地域の町内会に出席する際に支出する経費等の地域コミュ二ティにも配慮した費用」に限られます。
また、同コメントでは「各居住者が各自の判断で自治会、町内会等に加入する場合に支払うこととなる自治会費、町内会費等は地域コミュ二ティの維持、育成のため居住者が任意に負担するものであり、マンションという共有財産を維持・管理していくための費用である管理費とは別のものである。」とされていますので、これ等のことを参考にして、自治会費の用途等について話し合って解決されるようお勧めします。

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