マンション管理 Q&A(第二版)

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17 一部共用部分が全体共用部分になった、その負担割合は ?

現行規約では、給水ポンプや発電施設は一部の共用施設であるとしてその費用は、中層建物の使用者のみの負担になっていましたが、昨年直結給水にするなどしてポンプを撤去し、現在跡地は全体の共用部分として他の用途に使用しています。 この場合、費用も全体の負担に改めなければならないと思いますが、その手続きについて教えてください。

一部共用部分として、規約に定められていた部分を全体の共用部分とするには、それ自体の管理を全体管理に変更すること、さらに管理費用を全体の負担に改めるについても規約の変更が必要か否かを、区分所有法との関係で見てみましょう。

まず、規約について区分所有法第16条の関係で見てみます。

1)法16条には「一部共用部分の管理のうち、区分所有者全員の利害に関係するもの又は第31条第2項の規約に定めがあるものは区分所有者全員で、その他のものはこれを共有すべき区分所有者のみで行う。」とあります。 これは、一部共用部分の管理主体について規定したもので、一部共用部分であるか否かの判断は、構造上、利用上から法定共用部分の一類型として生じるものであり、規約共用部分とは異なるという趣旨であると言われます。 つまり、一部共用部分の管理に関しては、その部分の利害との関係から

区分所有者全員の利害に関係する管理は(規約に定めがなくても)当然に区分所有者全員で行なわれるものである。
①以外の場合であっても法31条2項の規約に定めがある場合には区分所有者全員で行う。
①②以外の場合には、一部の区分所有者全員で管理する。
ということになります。

2)次に費用について見てみます。 法19条は「各共有者は、規約に別段の定めがない限りその持ち分に応じて、共用部分の負担に任じる・・」と定められており、基準となるその持分については、同法14条1項で「各共有者の持ち分は、その有する専有部分の床面積の割合」によると定められています。

つまり、管理費等の負担割合は「専有部分の床面積の割合」によることを原則としていますが、例外的に管理規約を持って「別の定め」を許されているということになります。

以上のことからすると全体管理とする規約の変更は、旧規約に共用部分の管理について規定が定めてあれば、改めて規約変更する必要がないようにも思いますので確認をしてください。 そして、管理費が持ち分の割合に応じて負担するように規約で定められている場合には、その単価を変更する場合でも管理規約の変更にあたらないので、普通決議で問題ないでしょう。 しかし、ここで管理組合として注意してほしいのは、管理対象物に一部共用部分が含まれている場合は、①その旨を、そして、②管理主体についても、利害関係の範囲に関係なく、規約に明記しておくこと。 ③経費負担者の範囲、負担割合をふくめて規約を改正しておくことをお勧めします。

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