マンション管理 Q&A(第二版)

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16 防犯カメラの運用細則は理事会で決めてよいか?

防犯カメラの設置が総会で承認されて、新理事会でその運用細則を決めて欲しいとの申し送りがありました。 防犯カメラの運用細則は理事会で決められますか、また、どのような点に注意して作成すればよいのでしょうか?

運用細則の制定については、理事会で立案し、総会へ諮って決議をする必要があります。

1)マンションの防犯カメラは、共用部分である「入口」「エレベーター」「駐車場」等に設置されること。
2)防犯カメラ自体も共用部分として扱われ、管理組合が管理することになること。
以上のことから、防犯カメラの管理運営については、防犯カメラ運用細則を制定して運用することが好ましいということになります。 なお、細則の制定にあたっては、「録画されたビデオの管理」「開示ルール」をどのように定めるかが重要になります。 いずれにしてもプライバシーに引っかからないような利用目的や、管理方法を考えて定める必要があるということです。

手続き面については、防犯カメラの運用細則は、規約及び使用細則等の制定になり、総会の決議事項となります。(管理規約第48条4号) したがって、運用細則は理事会では立案することはできますが(同規約第54条2号)、決めることはできません。

3)運用細則の作成上の注意点について考えてみましょう。

防犯カメラで録画した映像を無制限に公開したり、閲覧させることはプイバシー保護の観点から好ましい事ではありません。 録画した映像は誰が管理するのか、そしてどんな場合に、誰が再生し、またどんな場合であれば閲覧できるのか運用細則をしっかりと制定して運用する必要があります。
運用基準については、
① 利用範囲はどこまでにするか
② 防犯カメラの管理者
③ 録画映像の閲覧
④ 情報の個人利用の禁止
⑤ 守秘義務
⑥ 第三者に対する情報の開示等
の事項について規定しておくのがよいと思われます。

なお、実施にあたっては、
敷地内か、違法行為発生後の識別か、安全対策か。
ビデオテープの管理は理事長が行う。
ビデオテープの閲覧は、閲覧の必要性を記載した申し出書を提出してもらう。
理事会は、閲覧の申し出があった場合、閲覧の必要性を判断し閲覧させる。場合によっては、管理者立会いのもとに閲覧させる。
閲覧した内容は第三者に公表しない義務等を細則におり込む。
第三者に対する開示としては、窃盗や痴漢など刑事事件の発生や器物を損壊した場合などの民事事件のための必要性がこれに該当するとことになると思いますが、この場合でも必要な部分だけ録画して、関係のない映像部分は除外する等してプライバシーに配慮する必要があります。

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