マンション管理 Q&A(第二版)

←前へ 目次 次へ→

15 管理規約の改正はどのような場合に行うのか ?

管理規約の改正はどのような場合に、どのような手続きで行えばよいでしょうか。

規約の見直しや改正は、どのような場合に行うかに関しては、法的な定めはありません。

しかし、区分所有者が遵守すべき管理規約が法令にそぐわない場合は問題となります。 そのような事態を避けるため、関連する法令の改正があった場合や分譲時の居住者に変化があった場合、例えば、賃借人の増加や高齢化等によって居住者の構成に変化があった場合等は、規約を見直す機会の一つといえるでしょう。

マンションの規約の見直しや改正にあたって参考になるのが標準管理規約です。 「単棟型」「団地型」「複合用途型」の3型がありますので、その中から自分のマンションにあったものを参考にして規約改正を行うことが望ましいと考えます。

規約の改正に際しては、自分のマンションの構造や居住者の実態を把握して改正することが大切ですが、改正作業を進めるにあたっては、区分所有法を始め各分野の専門的知識を必要とする場合があります。 円滑な作業を進めるためには、理事会の下に「規約改正等委員会」を設置しその中に外部の専門家を活用することも有効な方策になります。 この場合の専門家としては、マンション管理士、弁護士、建築士等があげられます。

規約改正の手続きとしては、総会の議案とする前に、①区分所有者への説明会②アンケート調査による意識調査③調査結果の居住者への報告等により一人でも多くの理解を得た上で総会に提案することが合意形成の早道と思います。

規約改正は、総会の特別決議へ経なければなりません。 そのためには、区分所有者及び議決権の各3/4以上の多数による議決が必要です。

これは総会に欠席している区分所有者も含めて組合員の総数(1人で複数の部屋を所有している場合も1人の組合員と数え、夫婦で1つの区分を共有している場合のように複数の人が1つの区分を所有している場合も1人の組合員と数えます。)と議決権総数のいずれをとっても3/4以上の賛成が必要です。(区分所有法第31条)

この場合、規約の改正が一部の区分所有者の権利に特別の影響を及ぼすときは、その承諾も得なければなりません。 また、管理規約の改正を行う総会の招集は、変更前の規約の条項と変更したい規約の条項を併記して、区分所有者がその議案について、賛否を決めることができる程度の議案の要領も示すことが必要です。(区分所有法第35条5項)

当事者の合意による自由な規定が認められない管理規約に優先する法の定めです。 管理規約は、マンション生活を快適に過ごしていくうえで、区分所有者やそこで生活している人達にとっていちばん身近な共同生活のルールです。 総会では十分な議論をする必要があります。 したがって、規約改正を発案する理事会としては、区分所有者の合意形成にある程度の手間暇をかけ、それを効率的に行うことが望まれます。

←前へ 目次 次へ→