マンション管理 Q&A(第二版)

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14 理事会で役員を補充する手続きは ?

役員の欠員を理事会で補充しているが、問題ないのですか。

まず、役員補充について区分所有法と標準管理規約をみてみましょう。

区分所有法25条は「管理者は、規約に別段の定めがない限り集会で選任する。」として、管理者(理事長)については総会で選任すると規定されていますが、その他の役員の選任方法については特に規定されていません。

規約で定められた人数が不足した場合は、役員は補充しなければなりません。本来は、総会を開いて役員を選出するべきでしょうが、実際問題として、役員改選はともかく役員の任期途中の辞任等による補充については、そのたびに臨時総会を開催することも大変です。

役員の補充は、通常、管理規約の定めに従って行うことになりますが、しかしそれまでのルール・慣例等がありますので、一般的には、その時の役員の定数、残任期間、総会開催時期等から決めるとよいでしょう。

多くのマンションでは、標準管理規約第35条第1項と同じく役員の定員について
 一 理事長
 二 副理事長 ○名
 三 会計担当理事 ○名
 四 理事(理事長、副理事長、会計担当理事を含む。以下同じ。)○名
のような決め方をされているようです。

このような規定であれば、欠員が生じたときはすぐにも後任を選任する必要があります。ただし、同規約36条第3項(任期の満了又は辞任によって退任する役員は、後任の役員が就任するまでの間引続きその職務を行う。)のような規定を加えてあれば、この規定により辞任した理事の後任が決まるまでは、辞任しても理事としての業務を行うことになります。

ところで、理事の就任は、管理組合とその理事との間の委任契約になると解され、民法では委任について「各当事者がいつでもその解除をすることができる。」と規定し、いつでも解除でき、また解除のための特段の理由も必要ないとされています。

したがって総会で選任された理事が一旦就任を承諾したが、その後特段の理由がなくても任期の途中で辞任することができるということにもなります。

また、住宅を売却した理事は組合員という資格を失うことにより、同時に理事の資格も失うことになるので、この規定は適用されないことになります。(同規約4項)

標準管理規約では役員の補充について、第36条関係のコメント③「役員が転出、死亡その他の事情により任期途中で欠けた場合、補欠の役員を理事会の決議で選任することができる。」と規約に規定することもできるとしています。

これを引用して規約に「役員が転出、死亡その他の事由で任期途中に欠けた場合補欠の役員を理事会の決議で選任することができる。」と規定しておけば以上のような事態は避けることができるでしょう。

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