マンション管理 Q&A(第二版)

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7 総会決議事項の見直しはできますか?

数年前に決定した総会決議事項を、その後の事情の変化や、数年前の決議の時に判明していなかったことが分かってきて、決議事項を見直すべきとの意見が管理組合の中で強くなっています。 理事会ではどのような対応をしたらよいのでしょうか ?

大規模修繕をはじめ、数年前に準備した事項を現時点で見直しが必要とされることは十分に起こりうる話です。 その場合に、過去の総会決議をどう扱うかは悩ましい問題です。

管理組合は継続性のある団体であり、原則的には総会決議がいつのものであっても、その意思決定に従うことが求められます。 但し一方で時間の経過により、組合員の構成も変わり、マンションを取り巻く環境も変わってきて過去と現在の意志が異なることは当然に起こってきます。

管理規約も特別多数決議に従い変更可能としていることからすれば、一定の理由と手続きがあれば見直すことは当然に可能と考えられます。

但し、区分所有法やマンション標準管理規約では、過去の総会決議の変更等について何ら規定はありませんので、どのようにするかは管理組合で検討することになります。 いずれにしても、総会決議を見直すためには、同じレベル以上での意思決定が必要であり、過去の総会決議を修正するための総会決議(見直し決議)が必要となります。

この問題は、「過去に十分に時間をかけて決議したのだからそれを維持すべき」とする管理組合業務の継続性を重視する組合員と、「現在の情勢の変化等に配慮した現時点での組合員の意思を尊重すべき」とする現実派の組合員との調和をいかに図っていくかの問題です。

1つの解決方法として、大規模修繕のような場合には、現在決議されたものに代わる議案を直接総会に諮り新しい決議優先というやり方よりも、二段階に分けて先ず「過去の決議について再審議することの可否」を決め、否決されたら過去の決議がそのまま存続し、可決されたら第2段として「代りの議案の可否」につき再度決議するというものです。 この場合の第1段階の決議は普通決議とすることは可能と考えられます。

この方法のほうが第1段階で「管理組合としての組織の継続性」「過去から現在に至る管理組合の意思」を尊重し、過去の決議について改めて現段階で見直す必要があるかを議論することになり、ここで過去の決議に積極的に関与された組合員の意向も汲み取ることが可能となります。 そして第2段階で「現在の管理組合の意志」を尊重して、改めて代案実施の必要性が確認できます。

いずれにしましても、過去に総会決議が存在するという事実は大変重いものであり、安易に過去の総会決議の否定が繰り返されると総会の重みが薄れ、管理組合活動の信頼性が損なわれ、現在及び将来に悪い影響を及ぼします。 したがって、過去の決議の前提に変化があるのか、またはその前提や手続きに問題があるということにつき慎重に判断し、いたずらに過去の決議が否定されるようなことがあってはならないと思います。

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